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YOSHI

宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO.

2024.06.11

まだ「イラストレーター」や「グラフィックデザイナー」という言葉さえなかった戦後の時代から活躍し、1960年代の日本においてその地位を確立し時代を牽引してきた宇野亞喜良氏。

90歳となった今もなお活躍し続けている宇野氏の個展が東京オペラシティ アートギャラリーにて開催。
東京では初の大型個展とのことで早速観に行ってきました。

宇野亞喜良氏はイラストレーター、グラフィックデザイナーの他、舞台美術監督、芸術監督も務めるなど、とにかく幅広い活躍をしているレジェンド。
独自の作風がクリエイターを含め多くの人々に影響を与えてきたであろう人物です。

私が宇野氏の作品をきちんと見たのは恐らく10代のころ。
課題のポスターを描き上げるのに、参考にと両親が所有するグラフィックデザインの本に目を通したのがきっかけ。

今回の宇野亞喜良展では、学生時代に描いたスケッチから始まり近年の作品まで12のプログラムによって構成されており、その作品数はなんと900点と見ごたえのある内容。
どんな作品が見られるのか期待も膨らみます。

私の中の宇野氏の作品はサイケデリックでコケティシュな女性達。
そんなイメージとは全く異なる初期のもの。

一言で言えば「宇野亞喜良っぽくない」作品。
媒体のターゲットによって作風を変える宇野氏の幅広さに驚き。



1960年代の企業のビジュアルデザインやカレンダー。
この独特な色使いも魅力的。

1965年 化粧品ブランド「マックス ファクター」のポスター。

現在では社名も変わり「マックス ファクター」ブランドも日本を撤退したので知らない世代もいるかと思いますが、人気ブランド「SK-II」の発売元。
今見ても素敵です。

グラフィックデザイナーとしても活躍していた宇野氏。
イラストレーションだけでなく写真を多用した作品も多く手掛けています。

両親の本に掲載されており、個人的に好きだったイラストの原画も。

こうやって本と比べてみると、やはり原画のペンのタッチは最高。
それにしてもこのイラストが50年以上も前に描かれたものだなんて、お洒落すぎます。


この個展のハイライトとも言うべき、空間を埋め尽くすポスター。

寺山修司の演劇ポスターや布袋寅安、TOSHIのビジュアルポスターなど。
その多才ぶりに圧倒されます。

近年では椎名林檎のアートワークを手掛けたこともあり、ファン層がとにかく幅広い。
私が鑑賞したこの日も下は20代から上は80代ぐらいまで。若い女性の多さに驚きました。

そして、「KEITA MARUYAMA」のロゴも宇野氏が手掛けているのにびっくり。
本当に御年90歳なのか・・・

本展の最後にある「宇野亞喜良 略年譜」。

さすが70年以上活躍しているだけあって長い、めっちゃくちゃ長いです。

900点以上の作品数なので、全ては紹介しきれませんでしたがとにかく内容の濃い本展。
これだけ長く活躍されていると一つぐらいは見たことある!!っていう作品に出合えるかもしれません。

宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO
期間:2024年4月11日[木]- 6月16日[日]
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
入場料: 一般1,400円[1,200円]/大・高生800円[600円] ※中学生以下無料

日本のイラストレーションやグラフィックデザインに興味のある方は一度宇野氏の軌跡を辿ってみてはいかがでしょう。
宇野亞喜良 90歳、ヤバすぎます。

そしてこちらが我が家にある日本を代表するグラフィックデザイナーのプロフィールと作品を紹介している「 12人のグラフィックデザイナー」という本。

1968年に出版されたもので、当時グラフィックデザイナーの仕事に就いていた両親が参考書的な感じで使用していたらしい。そのため所々にデザインイメージの書き込みが。笑

貴重な本に書き込みはだめでしょとも思いますが、これはこれで両親の良き思い出なのでしょう。

そして思い出と言えば、この子供服も。
私が3~4歳頃の物かと。

当時は今のように大人顔負けのお洒落な子供服なんてない時代。
いかにも子供服といったデザインの物しかなかったため、ちょっと凝ったデザインの服は全て母がデザインをし縫い上げていました。

そしてこのコートの裏地に使われているのがまさに宇野亞喜良デザインの生地。

当時一緒に仕事をした縁で父が頂いたものだそう。
贅沢にも宇野亞喜良デザインの生地を子供服に使っちゃう母、なかなかやります。

次は7月からスタートする企画展「髙田賢三 夢をかける」が気になる。
KENZOの創設者であり、日本人デザイナーとしていち早くパリに進出し、ファッション界の常識を打ち破ってきた高田氏の軌跡。
こちらも東京オペラシティ アートギャラリーで開催とのこと。

こちらも今から楽しみです。

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